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パブリシティ
知りたい!なりたい!職業ガイド 世界の文化にかかわる仕事 第一刷 (2000.3.31)依頼者からのことばが励みになります
■ 「よかった」「ありがとう」という
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私は今、翻訳の会社で産業翻訳の仕事をしています。産業翻訳とは。自動車、家電製品、建設機械などの製造技術、コンピュータや通信、半導体、ロボットなどハイテク産業技術、医療や薬品などに関する、説明書やマニュアルなどを外国語から日本語に、日本語から外国語に訳すというものです。やはり、いま翻訳の世界では圧倒的にこういった仕事が多いようです。 私の会社のスタッフは私をふくめて10名ほど。在宅勤務の外部スタッフは500人以上で、これらの人びとが、企業などから発注される翻訳の仕事をこなしています。ちなみに、私の会社で対応できる言語は40ヶ国ほど。英語、フランス語、ドイツ語、スペイン語、イタリア語、ロシア語、ポルトガル語、オランダ語、北京語、広東語、韓国語…。実にさまざまな言語ができるスタッフがいるわけですが、やはり中心となるのは英語です。発注される仕事も英語から日本語、日本語から英語へ、というものが大多数をしめています。 そんなわけで、私の会社ではスタッフを採用する際には英語の実力の基準を設けています。たとえば、社内スタッフの場合は、TOEIC900以上、社外スタッフなら800以上をもっていることが条件です。 また、英語の実力があっただけでは翻訳の仕事はむずかしいといえます。とくに産業翻訳の場合、専門用語がひんぱんにでてきますから、できれば何かの分野にくわしいほうがいいのです。うちの会社の外部スタッフの中には、医者とかエンジニアなどの仕事をしながら、または引退したあと、専門分野の知識を生かして翻訳をしている人もめずらしくありません。 |
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私は産業翻訳の仕事以外にも日本の会社と海外の会社の橋わたしのためのビジネスレターを書く仕事もしています。また、大阪では国際的な大きなプロジェクトが計画されていて、そのお手伝いもしています。海外の関係者への手紙、覚え書き、契約書などの翻訳です。
産業翻訳をふくめ、こういった仕事に出てくる英語は、実はそれほどむずかしいものではありません。専門用語が出てくるとはいえ、辞書さえあれば直訳するのはかんたんです。では、翻訳の仕事のむずかしさとはいったい何なのでしょうか。それは、原文を書いた人が、何を言いたいのか何を強調したいのかを理解すること。そして、その人が言いたいことを訳した文章のなかで表現してあげることだと私は思うのです。
ただ、英語がスラスラ訳せれば翻訳の仕事が成り立つというわけではありません。翻訳には想像力が必要です。原文を読み、書いた人が表現したいことを想像してみる。そうしてこそ、いい翻訳ができるのです。ときには、原文を書いた人がことば足らずで、思うことを十分に表現できていないこともあります。そんなときには、翻訳者がその人に代わって言いたいことを十分に表現してあげなくてはなりません。私は翻訳の仕事をするときには、いつもこうしたことを心がけているのです。
「原文よりも訳した文章のほうがきれいにまとまっていてわかりやすかったよ」と言われると、やはり、翻訳の仕事をやっていてよかったと思えます。また、依頼者から「よかった」「ありがとう」とお礼を言われるのも、うれしいことです。翻訳の仕事をやっていてよかったと思える瞬間です。
これから翻訳の仕事をめざそうとする人は、英語の実力を養うと同時に何にでも興味を持ち、好奇心旺盛でいてほしいですね。翻訳者が100人いれば、100通りの訳し方があるのです。自分の色を出せるような人になってほしいと思います。