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パブリシティ

翻訳辞典2009年度版

翻訳の目的を共有し、もっと理解し合える世界をつくりたい



WIP ジャパン
1995年に創設されたWIPジャパンの翻訳サービスで特徴的なことは、取り扱う言語が139カ国語と豊富なことと、廉価版から最高品質まで、さまざまなクライアントのニーズに応えられる体制をとっていることだ。代表取締役の福島良雄さんに話をうかがった。

ワールドインテリジェンスパートナーズジャパン株式会社
http://japan.wipgroup.com/

福島良雄(ふくしまよしお)さん
都市銀行勤務を経て、シンガポール、中国に留学。1995年、海外に留学した仲間でWIPジャパンを設立。現在では78カ国385都市に約3000人のリサーチャーを抱える。


■ マイナーな言語の持つ文化を残したい

「もっと理解し合える世界をつくりたい」──これが会社のモットーです。そのためにもなるべく多くの言語を取り扱いたいと思っています。ビジネスとしては、英語、中国語、韓国語、ドイツ語がほとんどで、これにフランス語、ロシア語を加えると、売り上げの95%を占めます。ロシア語の需要が、最近、高まっています。

でも、現在約6000ある言語が今世紀中に半分になるという、ユネスコのショッキングな報告もある中、マイナーな言語の仕事を引き受けて、言語の持つ文化を守りたいと考えています。個人の手紙などの翻訳も、採算を度外視して引き受けることがあります。

インターネットの普及で、一時はフランス語でさえ使用率が減少していましたが、逆に、ブログなどの浸透によってマイナーな言語が復活する兆しも見られます。

WIPジャパンが多くの言語を取り扱えるのは、会社の基盤が海外リサーチにあるからなんです。海外にまで目を向けると優れた翻訳者が見つかるんですね。会社は海外に留学した仲間3人を核に、留学地で得たさまざまな国の学友をネットワーク化することでスタートしました。現在では78カ国、385都市に約3000人のリサーチャーがいる、海外情報専門の調査会社としては日本最大にまで成長しました。リサーチャーには言語能力だけでなく、ヒアリング、インタビューなど広い意味での言語能力が必要とされます。


■ 仕事を左右するコーディネーターの役割

翻訳コーディネーターの仕事は、営業から納品までのマネジメント全体にわたります。お客様から、翻訳の目的や予算を聞き、適切な下訳者とチェッカー(ネィティブチェックおよびテクニカルチェック)を選択して、リンギスト・エディター(言語としての自然さや文体をチェック)にかけるという、プロセス全体の管理がコーディネーターの役割です。

さまざまな翻訳を見ながら、経験を積んで成長し、翻訳者として独立したコーディネーターはたくさんいます。フリーランスとなって、月に100万円くらい稼ぐ主婦もいるんです。

下訳は、基本的にターゲット言語を母国語とする外部の翻訳者に発注します。日英翻訳であれば英語ネイティブに依頼するんですが、内容が専門的で翻訳者が見つからない場合は、その分野に精通する日本人にお願いすることもあります。また、ネイティブだけが読むとは限らないマニュアルのような平易な英語の場合は、日本人のほうが適切なこともあります。

最近の傾向では、中国製RPGの翻訳のニーズが高まっていますね。量が膨大な上に納期が短いので、多くの翻訳者とチームを組んで仕事をしています。また、医薬分野は規制緩和によって外国の資本が入りやすくなっているので、これから伸びるでしょうね。


■ 目的を共有し、考えながら翻訳を進める

外国語の運用能力は母国語以上のレベルにはならないので、翻訳者に望むのは、まずは母国語の能力を高めること、そして専門知識を身につけることです。

でもこれはプロとして当たり前なので、さらに、翻訳者は何を目的とする翻訳なのかに思いを馳せてほしいですね。依頼された仕事を淡々とこなすだけでなく、担当者に確認し、目的に応じた翻訳を実現してほしいと思います。私たちは翻訳の仕事を通じて理解し合える世界を築きたい──そのためには目的の共有が不可欠です。一緒に仕事をしていても、目的を共有したほうが楽しいですからね。

プロジェクト開始前に翻訳者と打ち合わせをしますが、納品後も、翻訳者と反省会を行い、改善点を見つけて、次に生かせるようにしたいと考えています。お客様にもヒアリングして、満足度と成果を確認するようにしています。売上げが伸びたとか、契約が成立したと聞いて、コーディネーターと翻訳者が「やったね」と肩を抱き合えればベストですね。